西島三重子FanClub 「風」物語
第8話 風ついに解散か、最大の危機


 新アルバム(新曲)は出る気配が全くなく、み
ーちゃんの音楽活動も停滞したままだった。
 その間も、コンサート、ライブが(数えられるほど)あるにはあっただが、そこ
で歌うのはいつも同じ曲ばかりだった。ほかに、絵本の制作、ほかのアーティ
ストへの作曲、催し物などへのゲスト出演などがあるにはあった。
 そして、みーちゃんは92年の半ば頃から2年の間沈黙(?)してしまった。実
は、『ヤクシ団欒物語』(後述)の執筆に忙しい毎日だったらしい。これはあとで
わかったことだが。
 その頃、何かいい情報がないかと、マネージャーの河野さんに会いに、麻布
十番にあるアオイスタジオまで出かけたことがある。
 その時、河野さんから、CD1枚制作にどれだけ莫大なコストがかかるか、詳
しい説明を受けた。また、いくらファンの要望が多くても、新曲を出してペイする
には相当の枚数が売れる必要がある、その見込みがないことには簡単には踏
み切れないだろうということで、東芝EMIが躊躇するのも無理がないと変に納得
してしまった。同時に、もうCDが出る可能性は永遠にないとさえ思ってしまった。
 FC「風」は毎年秋に年会費を集めていたが、このように活動もない、ニュース
も何もない状態では徴収するわけにいかなかった。赤字覚悟の上、この際やむ
を得ずしばらく集めないことにした。結局、このことが引き金となり、事務局として
自ら「風」の存在を問うに至った。
 今後はどうしようかと、井上さんと何度も議論した。
 自主運営としてのFC「風」結成から、もう10年近く細く長く活動してきたが、み
ーちゃんの音楽活動に光明が見えない以上、「風」もそろそろ潮時かなとも思い
はじめた。何しろ明るい材料がないので、こう思うのも仕方がない。
 だからといって我々で勝手に結論を出すわけにはいかない。そこで、会員の皆
さんに現在の状況を説明し、FCは今後どうあるべきか、単刀直入に言うと解散し
た方がいいのかどうか、意見を聞いてみようということになった。
 具体的には下のような選択枝形式でアンケートを取って、その結果に従うとい
うものだ。このアンケートを発送する時はドキドキした。会員がどんな反応を示す
か、皆目見当がつかなかったからだ。
 決して我々がやる気をなくしたわけではない。むしろ今後も続けたいのが本心
だったのだが……。
【アンケートの選択肢】
 1.現状のまま続ける。年会費もそのまま徴収する。
 2.情報が入った時だけお知らせを出す。そのための通信費として年1000円を
   徴収する。会報などは作らない。
 3.希望者だけの通信網を作り、情報が入った時に伝わるようにする。
 4.解散する。

 ところが予想もしない展開を迎えることになるのである。
 
第9話 FC「風」は継続することに決定した・・・


 アンケートの結果が出た。
 選択枝1と2が大半だった。内心ほっとした。みーちゃんに関する情報入手の
道が閉ざされてしまうので、何らかの形で継続してほしいという希望が多かった。
特に地方の会員の方から。
 主な意見を紹介しよう。
 「現状は理解できるが、少し無責任では」
 「事務局の姿勢に疑問」
 「みーちゃんの情報は唯一ここだけなのに残念」
 「たとえどんな情報でも、あれば知らせて欲しい」
 「今はこんな状態だが、このまま終わるとは思えない」
 「いつかは活躍できると信じている」
 「どんな形でもいいから残して欲しい」
等々。
 あれこれ悩んだ末、継続する形としては、残留する会員の意思を大方反映で
きる選択枝2でいくことに決めた。すなわち、通信費1000円を集め情報が入った
時だけお知らせする、それ以外の活動(会報作り等)は行わない、と。
 このアンケートの結果、230人いた会員のうち100人近くが退会してしまった。
 いろいろな意見を読み、確かにその通りだと痛感し、後悔もした。みーちゃんに
も、このアンケートの結果を知らせたが、かえって悲しい思いをさせてしまったか
もしれない。
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